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専業トレーダー DaTsU

県庁の星

 
それにしても3月はアニメ映画が全盛。ドラえもんにケロロに北斗にワンピースにおまけにナルニアなるものまであり、なかなかこれという映画にたどりつけず。

そんな中、いまや日本映画の代名詞ともなった、フジ-東宝路線ばりばりの
映画は、ドラマでも強みがある巧みな見せ方がある、県庁の星もそんな気が
して楽に見れる。

もはや日本の映画界では完全なフジっ子になり、興行収入でも他をよせつけなくなった男優織田裕二と、今年の映画界はこの方の主演作ばかりの
女優柴咲コウが合致。やはり演技は相当旨いと感じた。昨年より邦画が
強いのは日本にも若い俳優がそれなりに育っているからだろうか。
また監督西谷弘 はTVドラマ「白い巨塔」「エンジン」「救命病棟24時」「ラストクリスマス」「天体観測」等、担当している。

野村聡はK県庁のキャリア公務員。
エリート意識を持った上昇志向丸出し男で、婚約者も地元大手建設
会社の令嬢…、と人生は順風満帆。
今後は「特別養護老人施設建設」のビッグプロジェクトを足がかりに、
更なるステップアップを狙っている。そのプロジェクトを前に、
県政の目玉である民間企業との人事交流研修のメンバーに選出され
得意満面。ところが研修先はやる気のない三流スーパー「満天堂」。
しかも、野村の教育係・二宮あきは自分より年下のパート店員だった。
それでも出世の為と意気込む野村だが、書類第一で融通の利かない
公務員とお客様第一で現場主義のパートがうまくわけもなく、二人は
事あるごとにぶつかってしまう始末。しかしそんなぶつかり合いが
思わぬ奇跡を呼び起こしていく…。

エリート役人の挫折とパート女性との心の触れ合いの物語。自分が馴染んでいたものとは全く違った環境に飛び込み、その中で、それまでの常識が通じず、挫折する。けれど、それまで上手く関係を築けなかった周囲の協力も得て、再び、立ち上がる

官民の構図を示している、県庁という組織。官の意識を民に植え付ける。
単純なものではないが、織田さんは上手に演じていた。
パートの柴咲さんとは最初は、ぶつかり合い、反発しあっていたけれど、徐々に、相手を認め合い、お互いの良い面を活かしながら協力し合っていく。
人は、ピンチを上手に生かし、大きく変わることもできる。

一方、なかなか変わることのできない硬直化した組織もある。けれど、少しずつ、変わっていくことができる。小さな変化を繰り返しているうちに、良い方向に向かっていくこともできるかもしれない。

諦めないことの大切さを実感させられます。非現実的な夢を追うのではなく、厳しい現実を理解しながらも、夢の実現を諦めず真摯に取り組むことの大切さが感じられます。

スーパーに来ても、最初は、いろいろな場面で、県庁の人間であることを主張していた野村が、段々、スーパーに馴染んでいき、やがては、スーパーの制服を着て県庁に行ってしまったりもします。


ラスト、野村の精魂込めたプロジェクトの予算削減の提案は、一旦は、知事に認められるものの、野村自身の予想通り、結果的には、無視されます。一度は、野村の提案を取り上げようとしたタレント出身の知事(酒井和歌子)は、老練な県議会議長(石坂浩二)に丸め込まれてしまうのです。この辺りの石坂浩二の悪代官的な役割が適役という感じで印象的でした。
役所の古い体質の堅牢さを表現したというところか。

そして、「県民の税金」を使って、県職員が休憩室で飲んでいた、かなり本格的な機械を使って淹れているエスプレッソ。最初は、無料だったのが、ラストでは「一杯100円」に。小さな小さな変化ですが、古くて強固な組織でも、変化が起こりうるのだと、一筋の光を見せてくれます。
これは旨い芸でした。

野村はこう呟きます。
「なかなか簡単には変わらないだろうな。ただ絶対に諦めない!」

スカっとさせることが映画の魅力でもありますね。




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